TEL: 082-247-3300
事務所名 | 株式会社MMCコンサルティング |
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代表者名 | 佐多 宗 |
所在地 | 〒730-0037 広島県 広島市中区中町1-9 Yビル3階 |
電話番号 | 082-247-3300 |
sata-hajime@tkcnf.or.jp | |
業務内容 | ・創業・独立の支援 ・売上増対策 ・マーケティング ・自計化システムの導入支援 ほか |
対応地域 | ●広島県:広島市、呉市、廿日市市、大竹市、東広島市、三次市、福山市、尾道市、府中町、海田町、北広島町 |
グループ会社の有限会社 佐多会計事務所は TKC全国会会員です |
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。 |
中国税理士会
パート・アルバイトで働く人の中には、「扶養の範囲内」で働くことを考えている人がいます。税金(所得税・住民税)と社会保険では扶養の範囲が異なります。税金と社会保険それぞれの扶養に影響のある年収のライン、いわゆる「年収の壁」について従業員に説明し、どのラインを扶養の範囲内と捉えているのか確認しましょう。
【所得税・住民税】
◆配偶者の扶養から外れるのは
年収にかかる税金には、所得税と住民税があります。夫婦共働きで、妻が給与収入のみのケースでは、妻の年収によって、かかる税金や夫が受ける配偶者控除等に影響があります。そのラインは「100万円」「103万円」「150万円」「201万円」です。
※夫と妻が逆の場合もあります。
◆100万円の壁【住民税が課税】
年収が100万円(自治体によって93万円~100万円)を超えると住民税が課税されます。
◆103万円の壁【所得税が課税】
年収が103万円を超えると、税法上の扶養から外れ、妻本人に所得税が課税され、夫は配偶者控除を受けられなくなります。ただし、妻が年収103万円超201万6,000円未満であれば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、妻の年収が150万円以下までは配偶者控除と同額の控除が受けられるため、夫の手取り収入に影響はありません。
配偶者控除・配偶者特別控除は、夫の年収によって控除額が異なります。年収(目安)1,195万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は受けれらません。
◆150万円の壁【配偶者特別控除の額が段階的に縮小】
妻の年収が150万円を超えると、夫が受ける配偶者特別控除の額が段階的に縮小し、妻の年収が201万6,000円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。
◆201万円の壁【配偶者特別控除が無くなる】
妻の年収が201万6,000円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなり、夫の手取り収入が減ることになります。
◆副業等で「103万円」を超えることも!
年収103万円以下であっても、給与所得以外の収入があると、一時所得や雑所得、譲渡所得となって、所得税が課税される「103万円の壁」を超える可能性があります。
FXや暗号資産の取引、フリマアプリ等で20万円以上の所得がある場合は注意しましょう。
生活に通常必要な家具、衣服、食器等の生活用動産の譲渡による所得は非課税ですが、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝飾品、美術品等の譲渡については課税されます。
また、生命保険の一時金、損害保険の解約返戻金、懸賞金、競馬や競輪の払戻金等による収入がある場合も注意が必要です。
【社会保険】
◆令和6年10月から適用範囲が拡大
最近は、手取り収入を増やすために「年収の壁」を超えて働くケースが増えています。
「103万円」を超えて働く場合には、社会保険の扶養の範囲を確認しておきましょう。その目安となるのが、「106万円」「130万円」です。
◆106万円の壁【社会保険の適用】
妻の年収が106万円(月額88,000円:年収105.6万円)以上の場合、一定の条件に該当すると社会保険上の扶養から外れ、妻本人の勤務先の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入して保険料を支払うことになります。
適用対象となる事業所の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が、令和6年10月から「51人以上」に引き下げられ、適用範囲が拡大しているので、注意しましょう。
<適用条件>以下の5つ全てを満たしている
1.従業員数:厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業(令和6年10月から)
2.所定労働時間:週20時間以上30時間未満
3.月額賃金:88,000円以上
4.2か月を超える雇用の見込みがある
5.学生ではない(休学中・夜間学生は除く)
◆130万円の壁【社会保険の適用】
妻の年妻の年収が130円以上になると、原則として、勤務先の従業員規模等に関係なく、社会保険上の扶養から外れ、自身で国民年金・国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。
「年収の壁」と、税金の扶養の範囲、社会保険の扶養の範囲は上記の図表で確認してください。
【政府の「年収の壁」対策】
政府は「年収の壁」を意識せずに働ける環境整備に力を入れています。
「社会保険適用拡大特設サイト」、「年収の壁・支援強化パッケージ」が厚生労働省から示されています。
「106万円の壁」「130万円の壁」への対応として、事業主向けの支援策が用意されています。活用できる支援策を確認し、従業員が繁忙期に就業調整してしまうことへの対応をしましょう。
これからは、扶養の範囲内で働くよりも、世帯収入を増やす働き方が主流になるかもしれません。
2024.6.10
「定額減税」は令和6年月1日以後支払いの給与等からスタートします。所得税の定額減税は、原則として年末調整時の「一括控除」が認められません。毎月、減税額を控除しきるまで月次での対応が必要です。複雑になる給与計算事務を毎月スムーズに実施できるよう最終確認しておきましょう。
【「定額減税」開始前の3つの準備】
令和6年6月1日以後、最初の給与・賞与等の支払いから「定額減税」が始まります。
制度開始前に給与計算担当者が準備すべきことは、大きく分けて次の3つです。
(1)控除対象者の確認と減税額の確定
(2)「各人別控除実績簿」の作成
(3)給与等の明細書の様式の見直し
(1)控除対象者の確認と減税額の確定
給与計算担当者は、まず「令和6年6月1日」時点で、自社の従業員のうち「誰が」「いくら」減税となるのかを確定しなければなりません。従業員から提出された「扶養控除等申告書」「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」から、その従業員の減税額はいくらになるか把握しましょう。
なお、令和6年中の所得金額の見積額が900万円を超える従業員の同一生計配偶者は、「扶養控除等申告書」には記載されていません。そのため、該当する配偶者がいる従業員からは「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けることが必要です。
また、16歳未満の扶養親族は「扶養控除等申告書」の「住民税に関する事項」または「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」で把握します。
例年、年末調整時に従業員から「扶養控除等申告書」を提出してもらっていますが、6月1日までに扶養親族の異動があった場合は再提出してもらいます。
控除対象者とその人数を各従業員自身がしっかり確認し、正確に記載した書類を提出するよう従業員に促しましょう。
なお、共働きで定額減税の対象となる16歳未満の扶養親族が複数人いる従業員には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」に記載する扶養親族を分けることも検討してもらいましょう。それぞれに係る合計の減税額が少なくなる分、早く控除しきれるようになるため、月々の定額減税の事務負担を軽減できます。
(2)「各人別控除実績簿」の作成
各従業員から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」等の提出を受け、減税額が確定したら、「各人別控除実績簿」を作成しましょう。
「各人別控除実績簿」は各従業員の氏名、扶養親族等の人数、合計の減税額を記載した一覧表です。作成にあたっては「令和6年分源泉徴収税額表」から控除前税額を求め、控除額および残額を記入します。
特に扶養親族が多い従業員の場合、減税額を一度に控除しきれず、数か月間減税の事務が必要になります。定額減税の事務を毎月確実に、かつスムーズに行うためにも、制度開始前から各人・各月の控除額等を記録しておく書類を準備しておきましょう。
「各人別控除実績簿」のPDFとExcelは国税庁のHPからダウンロードできます。
(3)給与等の明細書の様式の見直し
定額減税がスタートすると、各従業員の給与明細書に「定額減税〇〇円」というように、当該給与等の所得税から控除した額を記載することが必要です。
そのため、事前に給与等の明細書の様式を見直しておくことが求められます。給与計算システムを利用している場合には、控除額の記載に当該システムが対応できているかどうか事前に確認しておきましょう。
【6月上旬に給与・賞与の支払日がくる会社は早めの対応が必要】
定額減税のスタートは、「6月分の給与の支払い」ではなく「6月1日以後最初の給与・賞与等の支払い」です。
特に、5月分の給与を6月上旬に支払う会社や、給与より先に賞与の支払いがくる会社は早めの対応が必要です。
従業員から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」等の提出を受ける期日は、通常の給与計算事務を行う日より1週間か~10日程度早く設定し、記載内容の確認と各従業員の減税額を確定するための時間を確保しましょう。
国税庁のHPには「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」や「各人別控除実績簿」の書類の様式・記載例が掲載されています。ダウンロードして準備しておきましょう。
【月次、年末調整の定額減税事務での留意点】
月次の給与計算、年末調整の減税事務を行う上で、主に以下の点をおさえておきましょう。
1.従業員を6月2日以後、新たに雇用したとき
月次の減税事務は行わず、年末調整で精算します。
2.従業員の扶養親族に異動があったとき
月次の減税事務を最初に行うときまでに提出されている「扶養控除等申告書」または「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」に基づいて月次の減税額を算出します。そのため、月次減税の開始後に扶養親族の異動があったとしても、毎月の控除額は変更されません。年末調整で精算します。
3.従業員・扶養親族の合計所得金額が見積額から大きく変わるとき
上記2と同様に、月次の控除額は変更されず、年末調整で精算します。
4.従業員がふるさと納税を行っている場合
ふるさと納税は、従来と変わらず定額減税前の所得割の2割が限度です。特別の対応は必要ありません。
5.従業員が住宅ローン控除を受けている場合
年末調整時に、住宅ローン控除を適用した後の税額から定額減税額を控除します。
6.定額減税後に所得税の納付額が0円となる場合
各月の所得税の定額減税事務が終了した後、納付すべき源泉徴収税額がある場合は、通常通りに納付が必要です。
所得税の納付額が0円になる場合は、納付額はありませんが、0円と記載された納付書の提出が必要です。
2020.11.2
税制改正により、令和2年分の年末調整から申告書の様式が大幅に変更されました。
新様式では、収入・配偶者や扶養家族の有無などにより記入箇所が異なりますので、従業員に事前に説明しておきましょう。
【提出が必要な申告書】
(1)基礎控除申告書
(2)配偶者控除等申告書
(3)所得金額調整控除申告書
(4)扶養控除等(異動)申告書
(5)保険料控除申告書
(6)住宅借入金等特別控除申告書
(1)(2)(3)の3つの申告書は「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という1枚の用紙になります。
従業員の収入金額・配偶者の有無・扶養家族の有無などにより、記入すべき箇所のパターンが6つあります。
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得調整控除申告書(記入例)
(1)基礎控除申告書
原則として全員が提出します。ただし年収が2,000万円を超える人は確定申告をする必要があるので除きます。
<収入金額の計算方法>
1~11月までの課税支給額(賞与を含む)合計 + 12月の課税支給額(賞与を含む)見積額
<所得の計算方法>
収入金額 - 給与所得控除
※給与所得は、申告書の裏面の【給与所得の金額の計算方法】の表に収入金額を当てはめて計算しましょう。
給与以外に収入がなければ、この金額が「本年中の合計所得金額の見積額」となります。
◆給与以外に所得がある場合
家賃収入、生命保険の一時金、仮想通貨の売却収入、配当収入などがあれば、「給与所得以外の所得の合計額」に記入します。
「給与所得」+「給与所得居合の所得の合計額」=「本年中の合計所得金額の見積額」
(2)配偶者控除等申告書
配偶者控除等を受ける人が提出します。ただし、本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限ります。
配偶者の合計所得金額が133万円(給与収入で201万5,999円)を超えると配偶者控除や配偶者特別控除は受けることができません。
(3)所得金額調整控除申告書
収入が850万円超の人で、下記の要件のいずれかに該当する人が提出します。
記入時に850万円を超えるかどうかが分からない場合は記入しておきます。
<要件>
1.本人が特別障害者
2.同一生計配偶者が特別障害者
3.扶養親族が特別障害者
4.扶養親族の年齢が23歳未満(平成10年1月2日以後生まれ)
(4)扶養控除等(異動)申告書
令和2年分の「扶養控除等(異動)申告書」は、昨年の年末調整時に提出を受けていますが、年の途中で入社した人など、まだ提出を受けていない人については必ず提出してもらいます。
既に提出を受けている「令和2年分 扶養控除等(異動)申告書」を従業員に差し戻し、記載内容に訂正がないかを確認してもらいます。年の途中で、結婚、出産、家族の就職、離婚、死別などがある場合は、扶養親族の異動があるので必ず訂正があります。また、所得の見積額に変更がある場合も訂正してもらいます。
令和3年分の「扶養控除等(異動)申告書」は、令和3年の最初の給与の支払日の前日までに提出してもらいます。
令和2年分の扶養控除等(異動)申告書(記入例)
令和3年分の扶養控除等(異動)申告書(記入例)
(5)保険料控除申告書
生命保険料控除や地震保険料控除などを受ける人が提出します。
また、保険会社からの控除証明書の添付が必要です。
令和2年分 保険料控除申告書
令和2年分 保険料控除申告書(記入例)
(6)住宅借入金等特別控除申告書
住宅借入金等特別控除の適用2年目以降は、確定申告ではなく年末調整で控除を受けることができます。
申告書の提出には下記の添付書類が必要です。
・年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書 … 税務署から初年度の申告後に郵送されている
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 … 金融機関が発行
【年末調整の流れ】
(1)従業員に申告書を配布
注意点や添付書類を説明しましょう
(2)申告書を回収し、内容をチェックする
◆結婚、出産、家族の就職など扶養親族の変更確認、同居の有無、寡婦・ひとり親の確認
◆控除証明書等の添付漏れがないかの確認
(3)年末調整の計算
申告書を基に年末調整の計算後、従業員に源泉徴収票を配布します。
(4)法定調書の提出
翌年1月末までに、税務署に法定調書を、市区町村に給与支払報告書を提出します。
2020.10.1
年末が近づいてくると、パート・アルバイト従業員の方は「今年の年収は扶養の範囲内に収まるだろうか」と気になってきます。年末の繁忙期に、年収調整の為に休暇を申請されて職場の人員計画が狂ったり、後から「こんなに働くつもりではなかった」と言われないように、パート・アルバイトの方に税金や社会保険に関する「年収の壁」いわゆる「103万円の壁」「130万円の壁」について説明しておきましょう。
【103万円の壁】(所得税の壁)
一般に、パートで働く主婦は、年収が103万円に収まるように調整することが多いです。
しかし、平成29年度税制改正で配偶者特別控除が拡大され、パート収入が150万円以下であれば、夫は満額の38万円の配偶者特別控除を受けれるようになりました。但し、満額の38万円を受けられるのは、夫の収入が1,095万円以下の場合です。
配偶者控除は、夫の収入が給与収入が給与収入のみの場合、1,095万円を超えると、控除額が縮小されます。1,195万円を超えると、配偶者控除の適用はありません。
例)妻の収入:パート収入のみ 103万円
夫の収入:給与収入のみ 1,095万円
・妻の所得税:なし