会社概要

事務所名株式会社MMCコンサルティング
代表者名
佐多 宗
所在地
〒730-0037 広島県 広島市中区中町1-9 Yビル3階
電話番号082-247-3300
E-mailsata-hajime@tkcnf.or.jp
業務内容

・創業・独立の支援

・売上増対策

・マーケティング
・経営コンサルティング

・自計化システムの導入支援
・経営計画の策定支援
・資産譲渡・贈与・相続の事前対策
・事業承継対策
・保険指導
・経営相談

ほか

対応地域

●広島県:広島市、呉市、廿日市市、大竹市、東広島市、三次市、福山市、尾道市、府中町、海田町、北広島町
●山口県:岩国市
●島根県:浜田市、江津市、大田市、益田市、松江市、邑南町、川本町

グループ会社の有限会社 佐多会計事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

 中国税理士会 

税務・会計

役員と会社の金銭等の貸し借り

2022.8.3

中小企業では、役員と会社との間で、金銭や不動産の貸し借り、資産の売買などが行われることがよくあります。役員と会社は、法律上、別人格であるため、外部との取引と同様の手続きを踏んでおかないと、会社法上、法人税法上の問題が生じる恐れがあります。

【金銭消費貸借契約書を作成しましょう】
役員が会社に金銭を貸したり、反対に、役員が会社から金銭を借りるときには、たとえ同族会社のオーナー企業であっても、役員と会社は別人格であるため、「金銭消費貸借契約書」を作成しましょう。そして、貸借金額、貸借期間、利息、返済条件などの民法上の権利関係も明らかにしておきます。
また、取引の内容によっては、会社に損害が生じることを防止するため、株主総会や取締役会の承認決議を経て、議事録を作成しておきましょう。

【金銭の貸し借りでの注意点】
(1)役員が会社に金銭を貸す場合
役員が会社から利息を受け取らなくても、法人税法上は問題ありません。利息を受け取る場合は、役員の雑所得として所得税の課税対象となります。会社が役員に支払った適正な利息は、損金として処理することになります。適正な利息とは、以下の通りです。

<適正な利息>
1.金融機関など他者から借り入れた金銭を貸す場合、その借入金の利率を基に算定
2.貸付けを行った日の属する年に応じて法令の定める利率を基に算定

役員が受け取る利息が過大となった場合、適正な利息との格差部分は、役員に対する経済的利益の供与として役員給与と判断されます。
なお、役員から会社への金銭の貸付けは、その役員の相続が発生すると、相続財産となるので注意が必要です。
また、役員が会社に貸す貸付金額が運転資金程度であれば問題ないでしょうが、多額の場合、その資金を役員がどこから調達したのかが税務調査で問題視されることがあります。

<役員が会社から利息を受け取る場合>
無利息の場合:原則として問題なし
適正な利息より低い場合:原則として問題なし
適正な利息より高い場合:高い部分が役員給与

(2)役員が会社から金銭を借りる場合
通常、役員が会社から金銭を借り入れることはそれほど多くはないでしょう。よくあるケースとして、会社の預金から現金を引出し、その使途が不明のまま引出額が多額になる場合があります。この場合、役員への貸付金と認定されるため注意が必要です。
例えば、役員への20万円の仮払いがあり、そのうち10万円しか精算されていないなどが積み重なって、未精算額が多額になるケースがあります。


【不動産の賃貸借での注意点】
役員と会社の間で、事務所や住宅などの賃貸借をする場合、「不動産賃貸借契約書」や株主総会等の議事録を作成し、家賃について明記しましょう。

(1)役員が会社に不動産を貸す場合
役員が所有する不動産を会社に貸すとき、その不動産が、実際に会社の業務のために使用されていなければなりません。
「不動産賃貸借契約書」や株主総会等の議事録には、事務所用、倉庫用などの用途や賃貸借の目的を明らかにしておきましょう。
会社が役員に支払う家賃が相場よりも低い金額や無償であっても、法人税法上は、原則として問題ありません。反対に、相場より高い場合、その高い部分は役員給与とされます。

<役員に支払う家賃の消費税>
会社が役員に支払った事務所家賃の消費税は、現状では仕入税額控除が可能です。令和5年10月1日からインボイス制度が始まると、免税事業者である役員への事務所家賃の支払いについては、消費税の仕入税額控除ができなくなります。
ただし、令和11年9月30日までは、免税事業者からの課税仕入について、仕入税額相当額の80%または50%を仕入税額とみなして控除できる経過措置があります。

[経過措置]
令和5年10月1日~令和 8年9月30日 :80%
令和8年10月1日~令和11年9月30日 :50%

(2)役員が会社から不動産を借りる場合
役員が会社所有の住宅を借りる場合、法人税法上は、役員住宅の家賃として、住宅の規模に応じた適正な家賃基準があります。
法人税法上の適正な家賃と比べて、役員の支払う家賃が低すぎる、あるいは無償である場合は、適正な家賃との差額が役員給与とされます。

【資産を売買するときの注意点】
役員と会社の間で不動産の売買を行う場合、株主総会等の決議や議事録の作成などの手続きが必要です。
税務調査いおいても、疑念を持たれやすいので、「不動産売買契約書」を作成し、登記も忘れないようにしましょう。
同族会社の場合、法人税法上、特有の規定があり、売買の目的が明確でないと、取引そのものが否認されることもあります。
売買価格についても注意が必要です。適正な価格よりも著しく低い価格での売買であれば、取引に合理性が認められないとされる可能性もあります。

(1)役員が会社から低額で購入した場合
時価との差額が役員給与とされます。また定期同額給与に該当しないため、会社は損金処理できない上、差額分は譲渡益として法人税が課税されることになります。

(2)役員が会社へ低額で譲渡した場合
役員は、譲渡価格が時価の1/2未満であれば、時価で譲渡したものとみなされ、所得税の問題が生じます。会社は、時価との差額が受贈益として法人税が課税されるため注意しましょう。

役員給与の注意点

2022.7.4

役員給与の支給は、会社法上や税務上のルールがあるため、今一度、役員と会社との取引について問題がないかを確認しましょう。

【会社法と法人税法では役員は異なる】
会社法上の役員とは、取締役、監査役、会計参与等をいいます。これらの役員は、法人税法上も役員とされます。その給与は、定期同額給与や事前確定届出給与などとして、税法上の要件を満たすことで損金算入(費用とすること)が認められます。

法人税法では、役員の肩書がない人であっても、事実上、会社の経営に関与している人は役員とみなされます。例えば、会社法上の役員ではないが、会長、相談役、顧問などの肩書で経営に従事している人や、同族会社の従業員で一定の持株割合を超える株主であり、経営に従事している人などが該当します。

<法人税法上の役員の範囲>
●会社法上の法定の役員
・取締役
・会計参与
・監査役
・理事
・監事
・清算人

●税法固有の役員(みなし役員)
1.全ての法人に適用
法人の使用人以外の者(相談役、顧問など)で、実質的に法人の経営に従事している者
2.同族会社のみに適用
同族会社の使用人で、その同族会社の中心的な株主グループの一員であるなどの要件を満たし、実質的に法人の経営に従事している者

会社法上の役員でなくても、実質的に役員と同様の人を法人税法では、「みなし役員」として取り扱います。

【役員給与が決定したら議事録を作成】
役員給与は、株主総会において決定します。株主総会では、役員給与の総額の決議でよく、各役員の給与については取締役会や取締役間の協議等で決議することができます。役員給与が決定したら、株主総会や取締役会の議事録や支給決定通知書などの書類を作成しましょう。議事録は、税務上の証拠資料としてだけでなく、事業年度ごとに役員が意思を持って役員給与の額を決定し、その管理、統制を行うという意味でも重要な記録になります。

中小企業の場合、経営者自らが自身の役員給与を決めることになりがちです。自分の会社という意識から主観的に決定するのではなく、前年実績、当期の利益計画や業績見込みなどを基礎にして、経営の現状把握をしっかりとし、1年以内に返済する借入元本額を含めたキャッシュ・フローを確認した上で、役員給与を検討しましょう。

【定期同額給与と事前確定届出給与】
法人税法上、損金算入が認められる役員給与には、定期同額給与や事前確定届出給与などがあります

(1)定期同額給与
1ヵ月以下の一定期間ごとに同額で支給する給与で、役員ごとに個々に役員給与月額を定めます。原則として、事業年度の途中に支給額を改定することは認められません。ただし、期首から3ヵ月以内の改定であり、改定前の各支給時期の支給額が同額であり、改定後の各支給時期の支給額が同額であれば、定期同額給与とみなされます。
例外として、役員の職務内容の重大な変更、経営状況の著しい悪化などの理由で改定が認められる場合があります。ただし、一時的な資金繰りの悪化、単に業績目標に届かなかったなどは、「著しい悪化」には該当しないため注意が必要です。

<事業年度の途中で役員給与の減額改定が認められるケース>
1.銀行との間で借入金の返済期限延長等の条件変更をするため、役員給与を減額しなければならなくなった
 銀行との交渉に作成した返済計画、資金繰り表、条件変更契約書など減額の理由を明らかにすることで、役員給与の減額が認められる場合があります。

2.財務状況、資金繰りが悪化し、取引先との信用を維持・確保するため、経営改善計画に役員給与の減額を盛り込むことになった
 役員給与の減額により、財務状況、資金繰りに反映される効果を明らかにした上で、中長期的な経営改善計画になっていれば、減額が認められる場合があります。

(2)事前確定届出給与
役員に賞与を支給したいときなど、あらかじめ確定した支給日、支給額を定め、それに基づいて支給する給与等が事前確定届出給与です。その内容に関する届出を、所定の期日までに所轄税務署長に提出することが必要です。届出した支給日、支給額どおりに支給することで損金算入が認められます。

<事前確定届出給与の届出額と実際の支給額が異なる場合>
事前確定届出給与の税務署長への届出額と実際の支給額が異なる場合には、事前に支給額が確定していたとはいえない為、「事前確定届出給与」には該当しません。この場合、届出額より増額して支給していた時には、増額分だけでなく実際の支給額の全額が税務上損金不算入になります。また、届出額より減額して支給した時にも、同様に実際の支給額の全額が損金不算入となります。

【親族が役員の場合、勤務実態に注意】
社長の家族や親族へ役員給与を支給する場合、税務調査で勤務実態に照らして支給額が「不相当に高額」でないか、そもそも勤務実態があるかをチェックされます。そのため、勤務実態を説明できる資料等を残しておきましょう

<勤務実態を説明できる資料等>
・職務権限規程
・勤務日程表
・会社の組織図
・給与の支給方法と振込口座
・取締役会議事録

適時・正確な記帳が重要な理由

2022.5.2

令和4年度税制改正では、帳簿(仕訳帳、現金出納帳など)に関する罰則等の強化が行われました。また、補助金や助成金の申請においても、経年との売上高比較によるなど、適時・正確に記帳された帳簿の重要性が増しています。

【会計帳簿の2つの役割】
会計帳簿には、本質的な役割が2つあります。
<会計帳簿の役割>
1.経営者への自己報告機能
2.証拠力の確保

1つは、経営者への自己報告機能です。つまり、経営者自身の通知表、経営診断書なのです。財産や借入の現状、売上や利益、資金繰りといった経営の成績がわかります。経営者が経営判断を見誤らないために、いつも最新の状況を把握しておくには、日々の記帳が大切です。

2つ目は、証拠力が確保されることです。タイムリーかつ正確に記帳された帳簿は、証拠力が高いといえます。他人任せやまとめての記帳では、漏れや間違いが起こりやすくなります。現金出納帳は毎日記帳し、売上や経費もその都度記帳すれば、間違いにも早く気づき、信頼性も高くなります。刑事訴訟法でも、日々の業務過程で作成された商業帳簿には証拠能力を認めています。

【適時の記帳は会社を守る】
かつて帳簿といえば紙で綴った帳面でした。間違った記載をしたときは、その原始記録を消去することなく、そのまま記録に残し、その上で訂正記入を加える「見え消し」(赤の二重線を引き、その上に正しい数字を記載する等)をすることで、帳簿の証拠力を維持してきました。

また、記帳の基になる領収書や請求書などの取引の証拠書類を証憑といいますが、「証憑なくして記帳なし」という言葉がある通り、証拠書類に基づいて記帳することが大切です。これは、証憑が電子データ化されても同様です。

現在のように会計システムを使用して記帳するときも同様で、月次で締めた後は、遡って訂正できない仕組みになっていたり、訂正の痕跡が残るようになっていたりするシステムは信頼性が高いです。その証拠力は、いざというときに会社を守り、税務当局や金融機関など社外からの信頼につながります。

【帳簿がない場合のペナルティーは?】
事業者が保存すべき会計帳簿、請求書等の書類や電子データを保存していないと、青色申告取消の要因になります。青色申告の取消となると、特別償却や税額控除といった有利な制度の適用や、欠損金の繰越控除ができなくなります。そうなると税負担が大きくなることが予想されます。

令和4年度の税制改正では、帳簿を提出しなかったり、売上をごまかしたりした際のペナルティー(加算税等)をこれまで以上に重くする改正が行われました。
税務調査後の修正申告や期限後申告をした場合、通常の申告によって納める税金のほかに加算される過少申告加算税や無申告加算税について、以下の事由に該当する場合はペナルティーが加算されます。

事由加算されるペナルティー

税務署職員に帳簿の提示・提出をしなかった場合

10%
提示・提出した帳簿に、売上金額または収入金額の1/2以上が記載されていない場合10%

提示・提出した帳簿に、売上金額または収入金額の1/3以上が記載されていない場合

5%

中小企業の賃上げ税制(令和4年度税制改正)

2022.4.11

令和4年度税制改正では、企業の積極的な賃上げを促すため賃上げ税制を強化しています。税額控除率の上乗せ要件が緩和され、最大40%に拡充されます。また、赤字や業況の良くない企業には、ものづくり補助金や持続化補助金の特別枠などが設けられます。

【1】なぜ今、賃上げ?
政府が、賃上げ税制を強化するのは、企業の内部留保が9年連続で過去最高を更新しているのが背景にあります。一方、賃金はほぼ横ばいの状態が続いているのが現状です。
賃上げにより、GDP(国内総生産)の半分以上を占める個人消費を伸ばすことで、企業の利益が拡大し、それがまた賃金として還元される「成長と分配の好循環を生み出す」という狙いがあります。

【2】中小企業の賃上げ税制のポイント
適用期限が1年延長され、これまでの賃上げ要件である(1)雇用者全体の給与総額を前年比1.5%以上増加をそのままに、新たに前年比2.5%以上増加させた場合、税額控除率が30%となる要件(2)が追加されました。税額控除率の上乗せ要件も見直され、(3)教育訓練費を前年度比10%以上の増加で税額控除率は10%上乗せとなり、最大40%になります。

<賃上げ税制の要件>


要件
改正前(1)雇用者全体の給与総額:前年度比1.5%以上増加:給与増加額の15%を税額控除
★下記の要件を満たせば税額控除率:25%
(2)雇用者全体の給与総額:前年度比2.5%以上増加
 かつ
(3)教育訓練費の増加等
 ※次のいづれかの要件を満たすこと
 A.教育訓練費:前年度比10%以上増加
 B.中小企業等経営強化法の認定経営力向上計画における経営力向上の証明
改正後(1)雇用者全体の給与総額:前年度比1.5%以上増加:給与増加額の15%を税額控除
(2)雇用者全体の給与総額:前年度比2.5%以上増加:給与増加額の30%を税額控除
★教育訓練費の増加等による上乗せ要件
(3)教育訓練費:前年度比10%以上増加:税額控除率を10%上乗せ
 ※(2)前年度比2.5%以上の賃上げのみでも税額控除率は30%になります。更に(3)教育訓練費の増加により税額控除率が10%上乗せされ最大40%になります。また、(2)前年度比2.5%以上の賃上げには未達でも、(1)前年度比1.5%以上の賃上げを達成し(3)教育訓練費を前年度比10%以上増加させていれば、税額控除率が上乗せされ25%になります。

雇用者には、既存の従業員(パート・アルバイト等を含む)だけでなく、新規採用の従業員も含まれます。
給与増加額(賞与含む)は、適用年度の雇用者給与等支給額から前年度の雇用者給与等支給額を引いた金額です。
上記の改正は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

【3】税制の恩恵を受けられない企業は?
赤字など業況が厳しい中でも、賃上げ等に取り組む中小企業向けに、補助金の特別枠が創設されます。

1.ものづくり補助金
ものづくり補助金(正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)に、賃上げ等に取り組む赤字事業者を対象とした「回復型賃上げ・雇用拡大枠」が設けられます。

<回復型賃上げ・雇用拡大枠>
次の要件全てを満たす3~5年の事業計画を策定する必要があります。
(1)事業者全体の付加価値額を年率3%以上増加させること
(2)雇用者全体の給与総額を年率平均1.5%以上増加させること
(3)事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げること

<補助上限額と補助率>

申請類型補助上限額※1補助率
通常枠

750万円  

1,000万円  

1,250万円  

1/2
※2
回復賃上げ・雇用拡大枠

750万円  

1,000万円  

1,250万円  

2/3
デジタル枠

750万円  

1,000万円  

1,250万円  

2/3
グリーン枠

1,000万円  

1,500万円  
2,000万円  

2/3

※1 従業員規模により異なる
※2 小規模事業者・再生事業者は2/3


2.持続化補助金の特別枠の設定
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓や生産性向上に要する経費の一部を支援する「持続化補助金」に、「成長・分配強化枠」が設けられます。

<成長・分配強化枠>
事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げる事業者や事業規模を拡大させた事業者が対象です。

<補助上限額と補助率>

申請類型補助上限額補助率
通常枠

50万円 

2/3
成長・分配強化枠

200万円 

2/3 ※3
新陳代謝枠 ※1

200万円 

2/3
インボイス枠 ※2

100万円 

2/3

※1 創業や後継ぎ候補者の新たな取り組み
※2 インボイス発行事業者への転換
※3 一部の類型において赤字事業者は3/4

電子取引の請求書や領収書は電子データでの保存が義務化

2022.1.11

令和4年1月1日から電子帳簿保存法の改正により、電子取引にともなう請求書や領収書は電子データで保存することが義務化されました。
今までは、見積書や請求書、領収書等をメールなどの電子データで受領した場合、紙に出力して保存することが一般的でした。
これからは紙での保存だけでは認められなくなるので、電子取引に該当するケースを確認し、保存方法を徹底しましょう。

【電子取引とは】
電子取引とは、取引情報の受渡しを電磁的方式により行う取引のことです。電磁的方式とは、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報の受渡しをする取引(添付ファイルを含む)等のことです。
また、取引情報とは、取引において受領、交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、その他これらに準ずる書類に通常記載される事項のことです。
 ※EDI:電子データ交換(Electronic Data Interchange)

【義務化の時期】
電子帳簿保存法の改正は、令和4年1月1日から、電子取引を行う全ての事業者に適用されます。
事業年度に関係なく適用されるので、同一事業年度であっても、令和3年12月31日までに行う電子取引と、令和4年1月1日以後に行う電子取引では、取引情報の保存要件が異なります。
令和4年1月1日から電子データによる保存がされていない場合、青色申告の承認取消しの対象になる可能性があるので注意しましょう。

【具体的な電子取引】
自社では電子取引はしていないと思っている方でも、意外と色々な場面で電子取引が行われているケースがあります。自社に電子取引に該当するものがないかを確認しましょう。

<電子取引に該当するもの>
□ ネットショップ(アマゾン、楽天、モノタロウ等)で会社の備品を購入し、領収書をPDFデータでダウンロードしている
□ 社員がアマゾン等で会社の備品を立替払いし、領収書を電子データで受け取っている
□ 複合機のFAX機能で見積書や請求書を受信し、書面に出力することなく電子データを保存している
□ 電子請求書や電子領収書を受け取っている
□ 電子メール(メール本文や添付ファイル)で請求書や領収書を受け取っている
□ DVDやフラッシュメモリで請求書や領収書のデータを受け取っている
□ ネットショップに出店し、自社の商品を顧客に販売している
□ 公共料金の請求書をインターネットで確認している
□ クレジットカードの利用明細をインターネットで入手している
□ 電子決済サービス(PayPay等)を利用している
□ 社員がネットで購入した旅費(JALやANA等)を立替払い精算している
□ 大手メーカーとの取引に専用のシステム(EDIシステム)を利用している
□ 運送会社の請求データをインターネットで入手している

【電子取引データ保存の3要件】
電子メールで取引情報の受渡しを行った場合、取引情報が記載されている箇所によって保存する電子データが異なります。
 電子メール本文に取引情報が記載されているケース:電子メールそのものを保存
 電子メールの添付ファイルに取引情報が記載されているケース:添付ファイルを保存
電子データの保存する際、以下の3つの要件に準拠している必要があります。

<真実性の要件>
以下のいずれかで行う必要あり
(1)電子取引データの発信側がタイムスタンプを付与
(2)電子取引データの受信側が速やかにタイムスタンプを付与
(3)訂正削除履歴が残るシステムを活用
(4)訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用
  ※タイムスタンプ:ある時刻にその電子データが存在していたこと(存在証明)と、その時刻以降に改ざんされていないこと(非改ざん証明)をするもの。認定されたタイムスタンプ事業者(時刻認証業務認定事業者)により発行される。

<可視性の要件>
 ●保存場所に、パソコンやプリンタ等の備え付け
 ●電子計算器処理システムの概要書の備え付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限る)

<検索性の要件>
次の要件を満たす検索機能を確保しておく必要あり(保存義務者が小規模な事業者でダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合は検索機能は不要)
(1)取引年月日、取引金額、取引先を検索条件として設定
(2)日付または金額の項目は、範囲を指定して条件設定することができる
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定ができる
  ※ダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合は不要

【中小企業の対応】
電子データ保存の専用ソフトを使わない場合、次のような対応が考えられます。

(1)請求書データ(PDF)のファイル名に規則性をもって内容を表示する。
 例)2022年1月22日に㈱A商事から110,000円の請求書を受領した
  ⇒ 20220122_㈱A商事_110,000

(2)「取引先別」や「月別」など任意のフォルダに格納して保存する。
 例)上記の例の保存先 ⇒ 「202201」フォルダに格納

(3)「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を作成し、備えつける。
  電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(サンプル法人)
  電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(サンプル個人事業者)

なお、(1)の代わりに索引簿を作成し、索引簿を使用して請求書等のデータを日付、金額、取引先で検索できる方法によることも可能です。

電子データ保存の専用ソフトを使う場合は、メール等で受け取った請求書や領収書のPDF、画面ハードコピーなどの画像ファイル(JPG,PNG,BMPなど)を専用ソフトに読み込むことで、保存要件を満たした電子取引データとして保存できます。

詳しくは下記をご参照ください。
「電子帳簿保存法が改正されました」国税庁(R3.5 R3.12改訂)
「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】国税庁(R3.7)

電子化された領収書や契約書に収入印紙は必要?

2021.8.2
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する領収書や契約書などの文書に課税される税金です。
一般的には、印紙税の支払いに収入印紙を使用することが多いです。
印紙税の納税額と同等の収入印紙を購入して、文書に貼付し、消印(割印)を押すことで、印紙税を納付したことになります。
では、PDFなどの電子化された領収書や契約書に印紙税は課税されるのでしょうか。また、それを紙に印刷するとどうなるのでしょうか。

(1)印紙税が課税される文書とは?
印紙税が課税される文書(課税文書)と印紙税額は印紙税法で定められています。
具体的な文書と印紙税額は、国税庁の「印紙税額一覧表」(令和3年5月現在)で確認できます。
印紙税法に定めのない文書は、不課税文書として課税されません。
課税文書のうち、記載金額が5万円未満の領収書など例外的に課税されない文書は、非課税文書になります。
課税文書にあたるかどうかは、その文書の名称ではなく、内容によって判断されるため注意しましょう。
例えば、「契約書」という名称がなくても、内容が契約に関するものであれば、課税文書と判断されます。

【主な課税文書・不課税文書】

課税文書

不課税文書

●不動産売買契約書
●土地賃貸借契約書
●金銭消費貸借契約書
●請負契約書、請負金額変更契約書、請書
●約束手形、為替手形
●売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書
●領収書(金銭または有価証券の受取書)
※課税文書のうち、金額によって非課税文書になるものがあります。

●物品譲渡契約書
●物品賃貸借契約書(リース契約書)

●建物賃貸借契約書
●発注書
●抵当権設定契約書
●電子データ化された領収書や契約書
※文書の記載内容によっては、課税文書とみなされる場合もあるので注意が必要です。

(2)契約書の控えとしてコピーした文書は課税されるのか?
契約書を1通作成し、一方が原本を所持し、他方が控えとしてコピーを所持する場合は、原本のみに印紙税が課税されます。
契約書のコピーは、正本等の単なる複写(複製)のため、課税文書になりません。
ただし、契約書のコピーに契約当事者の署名または押印のあるものや、「原本と相違がない」旨の契約当事者の証明があるものは、課税文書となり、印紙税が課税されます。

(3)PDFなど電子化された書類に印紙税は課税されるのか?
印紙税は、紙の文書に課税されます。
例えば、商品販売において、振込入金後にPDFなど電子化した領収書を電子メールで得意先に送信しても、紙の文書の交付にはならないため課税文書にあたらず、印紙税は課税されません。
ただし、電子メールで領収書を送信後、改めて紙に印刷して送る場合、課税文書として印紙税が課税されます。

(4)PDF化された領収書などを保管のために紙に印刷した場合は?
取引先に電子メールで送信したPDFデータの領収書や契約書などを、保管のために紙に印刷しても課税されません。
また、取引先がそのPDFデータを保管のために印刷しても、印紙税がかかりません。


(5)電子マネーなどキャッシュレス決済の領収書に印紙は必要か?
商品販売において、電子マネー決済が行われたときに発行する紙の領収書については、印紙税がかかります。
これは、電子マネーが現金と同様であることから、課税文書にあたることになります。
また、クレジットカード決済時に発行する領収書は、金銭の受領ではなく信用取引にあたるため、クレジットカードの利用であることが明記されていれば、課税文書にあたらず、印紙税は課税されません。

(6)領収書と一緒に明細書としてレシートを渡した時の印紙税は?
飲食店などで、領収書とは別に飲食内容の明細書としてレシートを希望する顧客に、領収書とともにレシートを一緒に渡すことがあります。
この場合、それぞれが金銭の受取事実を証明する書類となり、金額が5万円以上であれば、領収書とレシートの両方に収入印紙を貼る必要があります。

(7)印紙の添付漏れがあるとどうなるのか?
印紙税は、定められた金額の収入印紙を文書に貼り、消印(割印)を押すことで納税となります。
「課税文書でないと思っていた」「貼り忘れた」「収入印紙を貼っているが金額不足だった」「収入印紙は貼っているが消印が無かった」という場合は、ペナルティーがあります。
印紙税の調査では、故意、過失に関係なく、収入印紙が正しく貼られていなければ、原則として、納めなった印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます。
納税者から「印紙税不納付事実申出書」を提出した場合は、印紙税額の1.1倍の過怠税とされます。
なお、過怠税は法人税法上、損金不算入となるので、注意が必要です。

帳簿書類の保存・整理は正しく行いましょう

2021.5.6

帳簿書類の保存・整理の方法は、業種・規模により様々ですが、会社経営や法的側面からも重要な業務です。
よくある質問を通してなぜ重要かを考えてみます。

【よくある質問】

Q1. 現金出納帳や総勘定元帳などの帳簿や、請求書、領収書など書類が年々増えています。どうすれば良いのでしょうか?

A1. 帳簿書類は、ルールに基づいて秩序正しく整理・保存する必要があります。

Q2. なぜ帳簿書類の整理・保存は重要なのでしょうか?

A2. 帳簿書類が秩序正しく整理され、いつでも見ることができる状態で保管してあれば、経営判断に必要な情報をすぐに確認することができます。経理業務においても、書類の紛失や誤記、転記ミス、請求ミス、領収書の二重計上、社内不正などを起こりにくくします。帳簿書類の整理・保存がきちんとできていれば、会計の信頼性も高まります。


Q3. 帳簿書類はいつまで保存する必要がありますか?

A3. 商法、会社法では、帳簿書類の保存期間を10年と定めています。
法人税法、所得税法では、帳簿書類の保存期間は7年です。
また、青色申告法人が欠損金の繰越控除の適用を受ける場合は、10年間の保存が必要です。
消費税法では、仕入税額控除の要件として、課税仕入の事実を記録した「帳簿及び請求書等」を整理し、7年間保存しなければなりません。
税務上、帳簿書類の保存は、青色申告や消費税仕入税額控除の要件になっているため、保存を怠ると、税務調査で、青色申告お取消しや、仕入税額控除が否認される恐れがあります。10年間保存しておけば間違いないといえるでしょう。

〔帳簿書類の保存期間〕
 商法  :10年
 会社法 :10年
 法人税法:7年
 所得税法:7年
 消費税法:7年

Q4. 帳簿書類の整理・保存の方法は?

A4. 帳簿書類の整理・保存の具体的な方法は企業により違いますが、基本的な流れは以下の通りです。

〔帳簿書類の整理・保存の流れ〕
(1) 受け取った請求書や領収書の内容(取引先名、年月日、金額、摘要など)に間違いがないかを納品書と突合します。

(2) 会計ソフトに仕訳入力、または、現金出納帳や伝票の起票を行います。

(3) 書類は種類ごとに分類します。例)売上請求書控、仕入請求書、現金取引関係書類、税務関係書類など

(4) 分類した書類をファイリングします。領収書は信憑書綴へ貼り、納品書や請求書などは年度ごと・取引先ごとに区分します。

(5) ファイリングした書類は、あらかじめ決めている所定の場所に保管します。

(6) 決算後は、期ごとに保管箱に入れ、法令の保存期間まで保管します。

(7) 保存期間が過ぎた書類は、社外に漏洩しない方法(重要文書処理システム等)で破棄します。契約書などの重要書類を誤って廃棄しないよう永久保存書類の保管場所は区分しておきましょう。

〔保存が必要な帳簿書類〕
帳簿:
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛表、買掛表、経費帳、固定資産台帳など

書類:決算関係書類:損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
   現預金取引関係書類:領収書、小切手控、預金通帳、借用書など
   その他の書類:請求書、見積書、納品書、送り状など上記以外の書類

Q5. 帳簿書類が年々増えてきて保存場所の確保が大変ですが、どうすれば良いでしょうか?

A5.帳簿書類の電子保存や書類のスキャナ保存制度の利用を検討してみましょう。

現金管理は経理の基本です

2021.4.12

会社の大小に関わらず「現金管理」は経理の基本です。毎日、実際の現金有高と帳簿残高が一致するかを確かめることで、売上や経費の漏れがなくなります。経理業務のデジタル化、省力化をスムーズに進めるには、ルールに基づいた現金管理がきちんとできている必要があります。

【現金管理の基本】
現金の入出金、有高は、(1)事実に基づいて、(2)一定のルールに従って、(3)不正のないように企業に見合った内部統制の仕組みを構築して管理する必要があります。

【現金管理の留意点】
(1) 担当者を決め、毎日の現金の締めの時間を決める。

(2) 記帳担当者と現金管理者は、内部牽制上では別の人にする方が良い。

(3) 小口現金からの支払は、一定金額以下とし、それを超える金額のものは、普通預金からの支払いとする。

(4) 現金売上がある事業者は次の点に留意する。
 ・売上金は全額を銀行に預入し、売上金から経費等の支払は行わない。
 ・釣り銭は一定額に定める。
 ・レジの精算レシートがある場合、レジ内の現金有高と一致するかを確認する。


【よくある質問】

Q1. 会社の現金は社長が持っています。どうやって管理すればいいのでしょうか?

A1. 会社の現金と個人の現金を区別するために、金庫を用意します。
そのうえで、毎日、現金取引はその日の内に記帳して、日々の正確な現金出納帳を作成します。
そして、その日の締め後に金庫内の現金を数え、現金の実際の有高と帳簿残高が一致するかどうかを確かめます。

Q2. どうして毎日、現金残高を合わせる必要があるのでしょうか?

A2. 売上の計上漏れ、経費の支払処理の漏れ、社長による会社の経費の立て替えや、領収書のない支出がそのままになっていると、現金残高が合わなくなります。
現金は、預金と異なり取引記録が残らないため、後から動きを確認するのは困難となります。
毎日、現金残高を合わせていれば、売上や経費の計上漏れ、精算のし忘れがなくなります。

Q3. 残高が合っていない時、原因を調べられるようにするために毎日の残高合わせが必要なのでしょうか?

A3. 税務調査においても現金は重要な調査項目の一つです。
現金管理がきちんとできていれば、会社の現金の動きに対する会計上の仕組みが構築できていることになります。
社内の不正や誤りを発見・防止できる社内体制が整っていると、税務調査官から判断されるでしょう。
現金管理がずさんだと、売上や経費の計上にも不備がある可能性が高いと判断されてしまいます。

【現金管理の手順(例)】
(1) 現金用の金庫を準備します。
 個人の現金と会社の現金を明確に区別するために、極力、社長が現金の受け払いをしないようにしましょう。
 領収書のない支出は、支払証明書や仮払申請書を利用して、出金した証拠を残しましょう。
 個人事業者の場合は、「事業経費」と「家事消費」を明確に区分しましょう。

(2) 入出金の都度、会計システムへの入力、または、現金出納帳に記帳します。

(3) 毎日の締め後、実際の現金有高に基づき、金種表を作成します。

(4) 実際の現金有高と帳簿残高を照合します。

(5) 実際有高と帳簿残高が一致しない場合は、原因を究明します。
 それでも不明な場合は、一時的に仮払金または仮受金などで現金過不足の処理を行い、実際残高に帳簿残高を合わせます。
 そして、後日、正しい勘定に振替えます。

【自社に合った経理のルールをつくりましょう】
社内の現金は、あらかじめ定めた金額の補充のためだけに預金から引き出しましょう。
現金収入は、直接預金に預け入れすることで、管理が容易になります。
現金管理のポイントは、銀行振込や振替、キャッシュレス決済を活用することで、社内での現金の受け払いを極力減らすことです。
現金の受け払いや精算が少なくなれば、記帳の誤りや計算間違い、現金の紛失などのリスクが下がります。
自社に合ったルールを作成したら、定期的なチェックを行い、ルールを徹底させることです。

【キャッシュレス決済の導入を検討しましょう】
コロナ禍における非接触の生活様式もあり、キャッシュレス決済を導入する企業が増えています。
決済会社ごとに異なっていたQRコードの統一規格「JPQR」が昨年導入され、一つのQRコードで複数の決済サービスを利用することが可能になり、より便利になります。
キャッシュレス決済は、経理業務の省力化につながりますので、導入を検討しましょう。

<キャッシュレス決済のメリット>
〔経費の支払いや社内精算を口座引落しや振込みを利用した場合〕
 ・現金精算や残高確認などの日々の業務が省力化され、経理ミスや現金紛失などのトラブル防止となる。

〔小売業や飲食業などレジを利用している企業が導入した場合〕
 ・顧客との現金のやりとりが減少し、現金管理の手間が削減される。
 ・キャッシュレス決済を活用する消費者が増え、それに対応した事業者が選ばれる。

所得拡大促進税制の2年延長と見直し

2021.3.15

【所得拡大促進税制の2年延長と見直しで賃上げを支援!】

令和3年4月1日から令和5年3月31日まで「所得拡大促進税制」の適用期限が2年延長されると共に、要件の見直しが行われます。
「所得拡大促進税制」は、中小企業が、従業員への給与等を前年度より増加させ、一定の要件を満たす場合、その増加額の一部を税額控除(法人税額の20%が上限)できる制度です。
今回の改正で、継続雇用者※ の概念が廃止され、単純に雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で増加していれば、適用できるように要件の見直しが行われました。
 ※継続雇用者:前期と当期の2期にわたり給与等の支給を受けた国内雇用者

通常要件

改正前

改正後

要件

継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上 かつ、
雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度以上
雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上

税制措置

雇用者給与等支給額の増加額の15%を税額控除
 ※法人税額の20%が上限
雇用者給与等支給額の増加額の15%を税額控除
 ※法人税額の20%が上限
上乗せ要件

改正前

改正後

要件

継続雇用者給与等支給額が前年度比2.5%以上で、
下記(1)(2)のいずれかを満たすこと

(1)教育訓練費が対前年度比10%以上増加
(2)中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実になされていること
雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で2.5%以上で、下記(1)(2)のいずれかを満たすこと

(1)教育訓練費が対前年度比10%以上増加
(2)中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実になされていること

税制措置

雇用者給与等支給額の増加額の25%を税額控除
(税額控除率15%に10%を上乗せ)
 ※法人税額の20%が上限

雇用者給与等支給額の増加額の25%を税額控除
(税額控除率15%に10%を上乗せ)
 ※法人税額の20%が上限

修繕費? 資産計上?

2018.10.15

【修繕費か資産計上(資本的支出)かの判断基準】
建物の修理や改装、機械のメンテナンス、車両の修理などが「修繕費」に当たるのか、資産計上すべき「資本的支出」に当たるのかの判断は難しいものです。

 修繕費 or 資本的支出 判定フローチャートはこちらへ

修理・改良した場合、内容に依って修繕費になるか資産計上になるかが決まります。その修理や改良等がその物の使用可能期間を延長させるか、価値を増加させる場合、延長や増加させる部分に対応する金額は修繕費とはなりません。資本的支出として、固定資産に計上します。
資本的支出の場合、新しく取得した資産として、その種類と耐用年数に応じて減価償却を行います。
修繕費か資本的支出かの判定は、実質的にどんな変化が起きたかによって判断します。

【資本的支出】
固定資産の使用可能期間を延長したり、価値の増加をもたらすような積極的な支出は資本的支出に該当します。
 
例)
 (1) 避難階段の取り付け(物理的に機能を付加)
 (2) 外壁をモルタルからタイルに張り替え(耐久性の増加)
 (3) 事務所用から居住用に模様替え(用途変更)
 (4) 機械の部品などを品質や性能の高いものに取り替えた場合、通常の取り替えにかかる費用を超える部分の金額(価値の増加)

【修繕費】
固定資産の通常の維持管理や原状回復のための支出が修繕費となります。
  例)
 (1) 外壁の塗り替え工事
 (2) 雨漏りした屋根の防水工事
 (3) 畳、壁紙、カーテン等の取替え
 (4) 現在使用している土地の水はけを良くするために行う砂利・砕石等の敷設
  
(5) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復させるための地盛り

基本的な考え方が分かっても、実際に修繕費か資本的支出かを判断するのは難しいです。
修繕費と資本的支出の判断基準として、下記のフローチャートを使用すると便利です。

※税込経理の場合は税込金額、税抜経理の場合は税抜金額で判定します。

※工事見積書・工事請負契約書などの修理の詳細が分かる書類、請求書、修理前後の写真などを必ず保管しておく必要があります。
 

原則として取得価額が10万円以上であれば、固定資産の取得となる可能性があるので注意する必要があります。